『kakimoto arms』のカラリスト、野村 亮さんに「リピートされるハイライトと、リピートされないハイライト」の違いについてお聞きしている第4弾! 前回は、お客様にリピートされない「曖昧なハイライト」から脱却するための、具体的なスキルの数々を挙げていただきました。最終回となる今回は、ダメージを最小限にする考え方と、カウンセリング力やプランニング力の重要性についても語っていただきます!
大切なのは、素材を見極め、お客様の気持ちに寄り添い、的確に提案できる力
編集部 前回「似合うハイライト」を提案するための具体的なスキルを教えていただきました。それらを理解した上で、「最小限のダメージでデザインする」ためには、他に何を知っておく必要がありますか?
野村 サロンで使っているブリーチ剤などは、データを取って整理する。メーカーごと、放置時間ごとのパワーを把握しておくことをお勧めします。「この素材に対してこのテクニックを使うと、施術時間は〇分くらいだから、今回必要なブリーチパワーはこれくらいだな」という判断ができるようになります。そうするとブリーチの微妙な抜き加減をコントロールしやすくなり、結果ダメージ軽減につなげられると思います。あと、当たり前のことですが、適切な前後処理剤を使って髪に負担を残さないような施術を徹底することも大事です。
編集部 なるほど。そういったことを整理した上で、継続提案していくためのプランニングを立てられるようになるわけですね。
野村 そうなんです。ブリーチ剤を操れるようになることで、自然とハイライトのプランニング力も身に付いてくると思います。そしてプランニングには「これが正解!」というものが存在するわけではないんです。例えば毎回の来店時にハイライトを楽しんでいただく方法もあれば、数回に一度のハイライトでも素敵な仕上がりを継続していける方法もある。大切なのは、その時のお客様の「素材」「気持ち」「予算や時間」に合わせて様々なバリエーションを発想し、自信を持って提案できるかどうかだと思います。
編集部 ハイライトってつい感覚的に捉えがちなんですが、実は女性像に対する似合わせや、カットベースに対する効果など、しっかり理論的に整理されているものなんですね?
野村 はい。現在『kakimoto arms』には80名以上のカラーリストが在籍しています。ブランドとして売り物を明確にして全員が共通認識を持てるよう、様々なことを整理して理論化するようにしています。たとえば、「前回のハイライトを次回誰が担当しても同様に再現できるようにする」とか、「こういう肌色にはこういう色味やコントラストが似合う」とか、「こういう女性像にはハイライトの入れ方はこうだよね」とか。これらは感覚だけでは絶対に共有できません。必ず全員で納得いくまで話し合って理論化していきます。そしてこの理論化された知識や技術を、今回の本を通して一人でも多くの方々とシェアしていけたらと思っています!
編集部 2月21日(木)発売の「kakimoto arms流 ハイライト大辞典」には『kakimoto arms』のカラリストの皆さんの、20年分の知識と技術が凝縮され、整理されて公開されているわけですね。ウィービングやバレイヤージュなどのテクニックはもちろん、今回お話しされていた「パーソナルカラーと女性像」の整理や、「カットベースとハイライトの関係」などもしっかり紹介されているので、ハイライトのスキルアップを図りたい美容師の皆さんには、ぜひ手に取っていただきたいですね!