毛髪科学技術者協会(小林均司・上島浩一・岡野みのる代表幹事)は、2月25日(月)、東京都文京区の東京ガーデンパレスにおいて、「第10回毛髪科学研究発表会」及び「特別講座」を開催した。
冒頭、西日本支部代表幹事の上島浩一氏が要旨以下の通り挨拶。
「今回は平成最後の発表会ということもあり、30年前を思い起こしてみると、当時は携帯電話も大きなもので、通話機能のみだった。現在のスマートフォンと比べると、この30年で大きく変わったと実感させられる。また、IOTの技術を活用して、個々のお客様に合わせて用事調整して使う化粧品も出てきている。これからは、AIの進化で美容の世界でもどういうものが出て来るか興味深い。
さて、今回は第10回の記念発表会ということもあり、特別に午前の部の基礎講座として上甲恭平先生に講演をお願いした。また、午後は特別研究発表含め9つの発表を用意している。どれも興味深いものなので、ご期待いただきたい」
上島代表幹事の開会の挨拶に続き、椙山女学園大学生活科学部生活環境デザイン学科の上甲恭平教授が、「染色現象は“自然”に起こる現象である-自然に起こるための条件と染色系を構成する成分の役割と働き-」と題して、特別基礎講座を行った。
休憩後、午後の部として、まずは、㈱ミルボン開発本部中央研究所の永見恵子氏が、「髪の未来予測」と題して特別研究発表を行った。なお、永見氏はこの研究でIFSCCポスター発表部門で最優秀賞を受賞している。
その後、下記の8つの発表が行われた。「触感覚を計測できる代替技術の提案」(信州大学バイオ材料・計測工学研究部 藤井敏弘氏)/「新規毛包検査技術の開発:スキンブロッティングの応用」(東京大学大学院医学系研究科 社会連携スキンケアサイエンス 峰松健夫氏)/「毛髪における視覚と触感の関連性」(タカラベルモント㈱ルベル事業部化粧品研究開発部 第一研究所 青池広樹氏)/「細い毛髪をしっかりセット・長時間維持できるヘアワックスの技術開発」(㈱マンダム技術開発センター 橋本佳和氏)/「各種還元剤の毛髪内拡散挙動」(東京家政大学家政学部服飾美術学科 葛原亜紀夫氏)/「アントシアニン色素の安定化反応を利用する白髪用ヘアカラーリング」(産業技術短期大学情報処理工学科 井上真琴氏)/「毛髪の物理エージングによる曲げ物理の変化挙動」(同上 上甲恭平氏)/「ブリーチ剤によるメラニン顆粒の分解および微細構造への作用パターン」(ホーユー㈱総合研究所 今井健仁氏)
発表会終了後は懇親会が催され、参加した会員間で活発な情報交換が行われた。