偏って育つ ことで自分だけの武器を身につける
バレイヤージュの先駆者『REVO』松村さん流“強み”のつくり方

SHINBIYO3月号のバレイヤージュ特集にご登場いただいた『REVO』の松村明輝さん。初登場ながら、見事に整理・分類された理論と、正確無比なテクニックを披露してくださり、おかげさまでこの号は早くに完売しました。

松村さんは、ハマるととことん追求するタイプのようで、10年ほどかけて研究を重ねてきたバレイヤージュは、今では塗布のバリエーションが30種類ほどに広がっているそうです(最近また新たな技を考案し、さらに増えているとか…)。

そんな特化した技術を駆使して、インスタで外国人風のカラーデザインを発信し、集客面でも結果を出しています。実は彼、バレイヤージュ以外にも、「横波ウエーブパーマ」を打ち出していたり、ちょっとひねりの利いた“武器”をたくさんお持ちなんです。

今回は、そんな松村さんに“武器を見つけて強みにする”ために必要なことを伺いました。

――バレイヤージュもそうですが、松村さんは特殊なテクニックに関して戦略的に特化されてきたんですか?

僕は常に「今、やっている人が少ないブルーオーシャンは何だろう」ということを意識していて、そのひとつがたまたまバレイヤージュだったんです。まだ体系立てて整理している方がいなかったのもあって。そういう新しいことが、世の中に飽和するまで頑張って取り組んで、レッドオーシャンになる前には次に行くという考え方です。むしろ自分で飽和させるくらいの意気込みでやっていますね。ただ、何でもすぐに上手くいくわけではなくて、バレイヤージュに関しても、打ち出し始めた5年くらい前は月にせいぜい5人くらいしかやる人がいませんでした。それでも「来てる」と感じていましたし、SNSでも反応が見え始めていたので、とにかく仕上がりの写真をたくさん撮って、根気よくアップし続けました。

松村さんのインスタより。様々な種類のバレイヤージュのデザインが展開されている。

――流行りそうなものを嗅ぎ分けるコツはあるのですか?

感覚的に時代の先が読めるんです(笑)。それはたぶん、ずっと美容のことを考えているからだと思います。僕は物事を深く考えることが好きで、朝起きてから寝るまで、美容のことしか考えていません。考える時間が多ければ、その分人よりも方法論を多く思いつくじゃないですか。想像力を働かせて、こうしたらこうなるだろうな、という実験を頭の中で繰り返すんです。脳の中で練習するようなイメージで。普段からそうやっていると、いざウイッグで試してみた時にほぼ予測通りの結果が出ます。そういう圧倒的な“考える量”というのが自分にとっては大きいと思います。

――しかも、頭の中で考えたことを実践に移して、多くの検証をされているからこそ技術の精度も高まるわけですね。そういう陰での努力ももちろん必要だと思いますが、これから“売り”を見つけたい人は、何を頑張ったらいいでしょうか。

「これだ!」と思うものを1つに絞らなくていいと思うんです。僕もそうですけど、多い時は同時に5つくらいの技術の検証に取り組んでいますから。いくつかある中から、どれかが当たればいいかな、くらいでいいのではないでしょうか。ただし、当たり前に誰もがやっていることとは違う視点で発想したほうがいいと思います。今の教育には、“偏って育つ”ことも大切だと思っていて、周りから何を言われようが、多少協調性がなかろうが、自分がいいと思うことに集中できる人が強いのではないかなと。そういう“いい偏り”を認めて、ある程度のところまで導いてあげるサロンの環境づくりも必要かもしれません。

3月号で紹介した塗布テクの一部。さらに進化した彼の技術がまた誌面で見られるかも。

ちなみに、松村さんに専属でついてバレイヤージュを学んだスタッフさんは、現在同期の3倍の売り上げを達成するほど伸びているそうです。“偏って育つ”、勇気を持って挑戦してみてはいかがでしょうか。

松村明輝(REVO)

1981年生まれ、新潟県出身。国際理容美容専門学校卒業後、千葉県内数店舗を経て柏にある『REVO』に入社。現在エグゼクティブディレクターを務める。バレイヤージュを始め、混色学やカラー理論を学ぶスクールも主宰している。