いまや定番人気となったブリーチオンカラー。ビビッドやパステル、多色使いといった若い世代向けのデザインだけではなく、ナチュラルな中にも立体感や抜け感をプラスしたり、リュクス感を表現したり…と大人世代にもじわじわ浸透中。
となると、やはり気になるのがダメージですよね。大人世代は特にダメージに敏感。初回で傷んでしまえば、ぜったいにリピートしてくれません。若い世代はブリーチカラーを継続していきたい人が多いので、こちらもダメージは最小限に抑えたい状況です。
そこで前回と今回の2回に渡り、ハイリスク毛への「ストランドテスト(=ストランドチェック)」の重要性について、東京・渋谷の『macaroni coast』の川辺辰郎さんにお話を伺います。
――川辺さんは、具体的にどのようにストランドテストを行っているんですか? その結果の判断の仕方は?
川辺 基本的には、後頭部の内側の目立たない部分から5ミリ×5ミリのチップを1センチ間隔で2本抜き出して、それぞれに6%と3%のブリーチ剤を根元から毛先まで塗布します。ホイルオンして約20分間自然放置ですね。それでリフトアップ具合と、ムラの出具合をチェックします。
――6%と3%、2種類でテストするんですね?
川辺 はい、そうすると「6%では髪に負担がかかり過ぎだけど、3%ならいけそうだ」とか「6%を使わず3%でも充分抜けるな」というような判断ができますので。アイロンストパーなど熱処理毛には、特に2種類でテストすることをお勧めします。ただホット系パーマの場合は、弱い薬剤を使っていることも多く、大丈夫と判断できることも結構ありますね。
――ストランドテストの結果、「かなり抜けにくい」「ムラが出やすい」と判断される場合もありますよね? 一回の施術では希望通りにするのは無理そうだ…となった場合、お客様にどのように説明したり、提案をするのでしょう?
川辺 まず先ほどのストランドテストの結果を見てもらって、現状の髪の状態の説明をしますね。次に、段階的に回数を重ねて目的のデザインにする方法と、今日一日で行う方法の二つがあり、それに伴うリスクと料金、拘束時間の違いのご説明をします。ここからはお客様自身の選択となるわけですが、当然、無理にでも今日一日で行うほうが、時間も料金もかかり、ダメージするリスクも高いわけです。そういう風に順を追って説明をしていくと、ほとんどのお客様が段階的に変えていく方法を選びます。そのほうが、お客様にも僕ら美容師にとっても望ましいですよね。
――なるほど。きちんと説明して理解していただくことが大切ですよね。とはいえサロンワークの現場では、ストランドテストの必要性が分かっていても、忙しくてつい行わずに施術に入ってしまう…ということが往々にしてありますが…
川辺 時間がかかるし、面倒くさいというはよく分かります。でもなんとなくリスクが高いと思える人に、テストを行わず失敗してしまった場合、そこからのリカバリーは2~3倍かかると思うんですよ。失客する可能性も高いですし、自分で自分の首を絞めることになりかねない。そこは「急がば回れ」という気持ちで、必要と判断したらテストは省かない方がいいと思います。
2号に渡って、ブリーチ時のストランドテストの重要性を語っていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
最近は髪内部への補強効果が高い酸性成分を主成分にした、いわゆる「プレックス&ボンド系処理剤(=P&B剤)」が各社から発売され、ブリーチを取り巻く状況は、大きく変わろうとしています。「ブリーチはダメージするもの」というのは過去の話になる日もくるかもしれません。
とはいえ、ブリーチはやはり美容師のプロフェショナルなスキルが求められるメニュー。正しい知識と繊細な技術が必要とされるメニューなのです。P&B剤に頼るだけではなく、髪に負担をかけない塗布方法や的確な薬剤選定も組み合わせて「継続できるブリーチ」「一過性ではないブリーチ人気」を実現してしきましょう。
そこでこの夏、ダメージを最小限に抑えるブリーチオンカラーの最新の技術と知識を満載した、月刊「SHINBIYO特別編集ムック/ケア&ブリーチ 継続できるブリーチデザイン 3つのルール」が発売決定! 編集部はただいま全力で制作中なので、こうご期待ください!(今回、お話を伺った『macaroni coast』の川辺さんも、もちろんご担当くださっていますよ~)