古城 隆さん(DADA CuBiC)に聞きたい10のこと(前編)
今、最もホットなデザイナーが語るクリエイションについて

注目のヘアデザイナーにクリエイションについてお聞きします。今回は、月刊『SHINBIYO』8月号の連載企画「オリジナルデザイン」にて、とてもクールなデザインを見せてくれた、『DADA CuBiC』の古城 隆さんが登場! 誌面よりさらに詳しく、ヘアデザインにかける想いについて語っていただきました。今回は前半のQ1~Q5をご紹介します。

Q1 デザインは煮詰めていく派? ひらめく派?

ヘアデザインを決めるのは瞬発力。モデルが顔見せに来てくれたときに、ここは残そう、ここは切ろうと、その場で判断します。モデルにも、どんな髪型にしようと思っているか説明しなくてはいけないですからね。それに対して、どんな人をつくりたいか、どんな表現をしたいか、そのゴール地点は慎重にジャッジしていきます。企画によっても違ってきますが、自分らしさを全面に出してよい撮影の場合は、精神性から入ることが多いですね。今回の撮影では、「強くて美しい」「永く残るもの」、プラス「少しアート」を感じさせる表現をしたいというところからコンセプトを煮詰めていきました。

Q2 モデル選びのこだわりは?

骨格ですね。クールな作品をつくりたい時ほど、骨格がシャープでないと、あどけなさが出てしまうので、骨格は一番重視します。それに加えて、ヘアのどこかにポイントがつくれること、切り込めることが大切。肌の見せ方の度合いとフォルムにはこだわります。

Q3 どんな風にデザインを組み立てていきますか?

大切なのは、撮影の現場で、スタッフのみんなとゴールが共有できていること。業界誌の撮影では、ゴールを決めるのが美容師ということも多いので、自分が決めなくてはいけない。自分が迷うと、みんなが迷ってしまうので。ゴールをどうしたいかがわかれば、カメラマンやメイク、スタイリストなど、みんなからアイディアが出てきて、充実した撮影になるのではないかと思います。

撮影では、フォトグラファーやメイクなど、他のスタッフと積極的にコミュニケーションを取り、いろんな意見を聞くようにしている。

Q4 ヘアデザインを表現する上で、絶対に外せないことはありますか?

モデルに似合っていることは標準装備として、表現に欠かせないのは「美しさ」ですかね。ただ、「美しさ」と一言でいっても、いろんな美しさがありますよね。完成された美もあれば、崩れた美もある。どんなテイストであっても、クオリティのあるものが美しいのではないかと思います。だから、絶対に欠かせないものはクオリティかもしれません。

Q5 デザインのヒントとして、参考にしているものは?

僕は言葉からインスピレーションを受けることが多いです。最近では、映画「We Margiela マルジェラと私たち」で紹介されていた、マルタン・マルジェラの「万人を喜ばせようとすると、行き場を失う」「コンセプトを打ち出すことが大事。流行に左右されない」という言葉。

避けたいのは、ヘアのムードにしても、写真のムードにしても、美容業界の流行に乗ること。

僕自身、ここ数年、あまりビジュアル全般を見ないようにしていたんです。外に何かを探すよりも、自分自身と向き合いたい気分だったので。でも、今年からはインプットを心掛けています。

※後編(Q6~Q10)は、7月12日(金)アップ予定です。