6月4日(火)に開催した撮影方式の誌上コンテスト「SHINBIYO フォトシューティング」で、最優秀賞を受賞された『BLANCO』田中けい子さんにインタビューを行いました。
――最優秀賞受賞、おめでとうございます! 早速ですが、「SHINBIYO フォトシューティング」に参加しようと思ったきっかけから聞かせてください。
田中 うちのサロンの広報担当からアナウンスがあって、このイベントを知りました。私は「チャンスがあれば挑戦する!」というスタンスなので、すぐに申し込みました。
――田中さんは、いろいろなコンテストやフォトコンでもご活躍されていますよね。その中で、このイベントに参加されるにあたって、まずどんなことを考えましたか?
田中 どのくらいのテンションで臨めばいいのかということですね。コンテストって、クリエイティブなものからリアリティブなものまであるじゃないですか。今回、出場された方も、そこが一番迷ったところだと思います。それで「SHINBIYO」の応募要項を改めて読んだら、「お客様に提案したい」と書いてあったので、リアルな方向でデザインすることにしました。
――具体的にデザインする際には、どんなところを意識しましたか?
田中 モデルへの似合わせを重視しました。クセがあってやわらかい髪質なので、彼女の素材を活かしたウエーブスタイルにしました。また、顔立ちがはっきりしていて、クールにもフェミニンにも持っていけるタイプなんですが、今回は女性らしさを出す方向でデザイン。ウエーブで柔らかさを、さらに前髪を短く切り込むことで、かわいらしさを出しました。普段の彼女は、クールな感じなので、いつもと違う一面を引き出せたかなと思っています。

田中さんのエントリーシート
――デザインに、ハイライトもきいていますよね。
田中 いろいろ迷って、黒髪のウエーブスタイルにしようと思っていたのですが、カラリストの鈴木(健之さん)にカラーを相談したら、「ウエーブを見せるならハイライトを入れたら?」と提案があって。最近、サロンワークでもコントラストのきいたハイライト提案が多いこともあり、ハイライトを入れたデザインにしました。ヘアスタイルがより際立ったので、鈴木には感謝ですね。今回は髪型をメインに、ヘアに一番に目がいくように、洋服やメイクが強くなりすぎないように注意しました。メイクはクマなどを隠すくらいで本当にナチュラルに仕上げ、洋服はグレイのキャミソールと迷ったのですが、最終的には肌馴染みのいいニットのキャミソールにしました。
――イベント当日の様子はどうでしたか?
田中 正直、周りは気になりました。他のサロンの方がたくさんいらして、エッジの利いたスタイルが多かったので、自分はナチュラル過ぎたんじゃないか…と不安になりました。でも、撮影してみて、カメラマンの方が「いいんじゃない」と言ってくれて、安心したんですよ。写真もいいアングルでステキに撮っていただけて、よかったです。
――最優秀賞を受賞されて、サロンのみなさんの反応はいかがでしたか?
田中 みんなすごく喜んでくれました。先輩たちに「よかったね!」「頑張ったね」と言ってもらえて、それで(受賞した)実感が沸いたんですよ。今回、モデルさんに何回かお店に来てもらって仕込みをしたのですが、その時に先輩たちに「何の仕込み?」って尋ねられていたので、先輩たちも気にかけてくれていたみたいです。
――サロンのみなさんも応援してくださっていたんですね。
田中 そうですね。私は「これだ!」とすぐにひらめくタイプではないので、撮影やコンテストの前には、いろんな先輩に意見を聞くんです。「こうしようと思うんですが、どうですか?」って。今回も先輩たちからアドバイスを受けて、いろんな意見を頭の中で巡らせて、1か月くらい悩んで悩んで、最終的に落とし込んだデザインなんですよ。だから、この賞も自分だけの力では、取れなかったと思います。先輩方のアドバイスのおかげですね。
――いろんな意見を聞いて、悩みすぎて、わからなくなってしまうことはないですか?
田中 ありますね(笑)。そういう時は「モデルに似合う」「モデルをステキにする」という原点に立ち戻ります。悩みすぎると、モデルさんのことを忘れて、自分のやりたいデザインが優先になってしまうことがあるので。
――田中さんがコンテストにチャレンジしている原動力は?
田中 年齢を重ねると、チャレンジすることが恐くなってしまうところがあるじゃないですか。だから、私、コンテストに毎年出場し続けている人って、めちゃめちゃかっこいいと思っていて。「やり続ける」「チャレンジし続ける」ことって大切ですよね。自分の姿を見て、後輩たちに、それを少しでも感じてもらえたらいいなと思います。だから、来年の「SHINBIYOフォトシューティング」にも参加する予定です!
それにお客様って、何か月かに一回の来店をすごく楽しみにしてくれているじゃないですか。だからこそ、常に新しい引き出しを持っていないと、お客様の期待に応えられないと思うんです。挑戦しているからこそ、得られるものって絶対にある。お客様のためにも、チャレンジし続ける自分でありたいですね。それに、チャレンジして、結果が出たときのうれしさは何物にも代えがたいので、それが美容師としてのモチベーションにつながっています。
田中けい子(BLANCO)
1991年生まれ、長野県出身。資生堂美容技術専門学校卒業後、2011年『BLANCO』入社。現在、表参道店にてスタイリストを務める。数々のコンテストで受賞歴あり。