全日本理美容品工業連合会(寺西啓人会長)は9月19日、都内文京区の東京ドームホテルで「第19回東京大会」を開催した。大会には、同連合会を構成する関西、中部、東京の各理美容品工業会に所属する会員約60社のうち40数社が出席し親睦を深めた。
理事会に続いて午後4時前から開かれた第1部の総会では、阪本昇次・東京理美容品工業会副理事長の開会の辞に続いて寺西会長が挨拶。この中で同会長は2年間の任期を振り返り「可もなく不可もなく終わったという印象だ。世界情勢が不安定な中で秋には消費増税も控えており次期の全国会長は何かと大変だと思うが、いざという時には一致団結ができる工業会であって欲しい」と述べた。
寺西啓人前会長
また、新会長の古谷龍太郎氏も「ニュースで話題になっている欧米の金利引き下げは円高の要因に成りうるので要警戒だ。取り巻く環境は更に厳しくなりそうなので一層の団結が求められる」と団結を呼びかけた。議長に寺西啓人氏を選出したあと川添義行氏が事業報告、磯村幸男氏が会計報告を行い、いずれも拍手多数で承認された。
古谷龍太郎新会長
最後に阪本昇次渉外部長が「環境の激変で壊れた製造業を立て直すため、連携と団結で前進し続けよう」と大会宣言を発表し総会を終了した。
いっぽう、第2部の記念フォーラムでは同工業会の理事長も務めた(株)東光舎の井上弘会長が「理美容品工業会の始まり」と題して講演を行った。
井上氏によると、現組織の前身は1960年に「東京理美容品製造組合」という名称で発足。浅草・鳥越神社で行われた創立総会には60社が参加し、椅子、鋏、バリカン、レザー、サインポール、鏡など業種別に11の部会が活発な活動を展開した。70年代以降に組合を取り巻く環境は厳しさを増したが、現名称への変更など様々な努力を経て活動は再び活発化したという。
記念講演で工業会の始まりについて話す井上弘氏
午後6時からは懇親会が開かれた。古谷新会長は初めに平成の30年間を振り返って「市場開放という名のもとに規制緩和が進んだことにより、日本のモノづくりがおかしくなってしまった」とした上で、「我々中小の製造業者にとって人手不足問題以上に深刻な課題は設備投資だと思っているが、弱音を吐いても仕方がないのでモノづくりを継続させるしかない」と令和に向けた思いを語った。
来賓を代表して竹鼻実樹・東京理容品卸商業協同組合理事長(菊星)が「ネットで業務用品が売られるなど理美容業界の流通も激変している。事故防止等の観点からも、ディーラーに対してはフェイス・トゥ・フェイスで商品説明を行うことが卸業の使命と考えている」、駒田健治・大阪美容用品卸問屋協同組合理事長(武田)が「企業の価格訴求にあおられて消費者も値段しか見ていない。かつて日本で盛んに言われたクオリティコントロールを各企業がもう一度見直して、モノやコトの品質管理を意識的に向上させていく必要がある」、曽我節男・全国理容用品商組合連合会理事長(ナンバーワンコーポレーションミヤタ)が「ディーラー業はサロンに一番近い流通部門。その特性を活かしてメーカーや問屋の意向・情報をサロンに伝えながら、サロンからの要求も問屋、メーカーにフィードバックさせていきたい」とそれぞれ祝辞を述べた。
このあと吉田博・東京理容用品商業組合理事長による乾杯の発声で祝宴に移った。吉田理事長は挨拶で同組合恒例のイベント「第6回理容まつり」を2020年11月に開催すると発表、出席者に協力を要請した。
新役員は次の通り(カッコ内は所属工業会および会社名)
▼会長=古谷龍太郎(東京、ニューヘヤー化粧品本舗)▼副会長=萩野眞(関西・内海)▼同=寺西啓人(中部・寺西商事)▼理事・事業部長=阪本昇次(東京・阪本高生堂)▼同・副事業部長=村島有治(関西・トリコインダストリーズ)▼同・副事業部長=川添義行(中部・メイホー)▼同・渉外部長=西村康明(東京・西村製作所)▼同・副渉外部長=西田康弘(関西・ニシダ)▼同・副渉外部長=浅野成利(中部・光工芸)▼会計理事=古谷龍太郎▼会計監査=中埜鉄也(関西・丸福商会)▼同=磯村幸男(中部・忠圀鋏製作所)
新執行部メンバー(後列左から3番目が古谷新会長)
(記者:小牧洋)