HSA協会(理容芸術協会) の石井武夫前会長退任および児玉利明新会長就任を記念する祝宴が11月18日午後4時から、都内文京区のホテル椿山荘東京で開催された。祝宴には本部と全国16支部の会員や来賓など250余名が参加した。
前半の退任式で挨拶した石井武夫第5代会長は、12年前の就任当初を振り返って「偉大な歴史を築いてきた会長たちの跡を凡人の自分が継いでいけるのか不安で一杯だった」と述べた後、「会の運営面では若い頃から知恵袋的存在だった児玉新会長に、また技術・教育面では木下裕章氏らにサポートして頂いたおかげで重責を全うすることが出来た」と謝意を表した。石井前会長は在任中に取り組んだ様々な事業にも触れ「毎年秋に開催している技術コンテスト(グランドフェスティバル)では過去最多の1450名という選手数を達成することが出来た。また、コンテストで7年間続けたキッズ部門競技を通じ、子供の親や祖父母など多くの一般人に業界のイベントを知ってもらうことも出来た」と総括した。
更に、会長職時代に低料金カットの流行や若者の理容室離れなど厳しい状況下で、その対策として「ヘアビジネスを通じてお客様の豊かな暮らしをお手伝い」というブランドコンセプトを打ち出したことも紹介し「理容業のステージアップに多少は貢献できたのでは」と語った。
祝宴には理容・美容業界のメーカー、問屋、ディーラー、専門学校関係者など多数の来賓も出席、代表して滝川(株)会長の滝川晃一氏と(株)きくや美粧堂会長の増保憲一氏が祝辞を述べた。住まいがH.S.A協会のトレーニングセンターと同じ地域だという滝川会長は、夜遅く帰宅したときトレーニングセンターの明かりがいつも煌々と灯っていたというエピソードを紹介し「さすが“技術のH.S.A”と感心した」と思い出を語った。最後に「勇気をもっていろいろなことにチャレンジして欲しい」と児玉新会長を励ました。
また、増保会長は「一生幸せでいたければ正直な人間になりなさい。1年幸せになりたければ家を新築しなさい。(中略)1日幸せでいたかったら床屋に行きなさい」というイギリスの諺を紹介し「いつの時代も髪の毛は伸びる。皆さんの商売は永久に繁盛します」とお祝いを述べた。タカラベルモント(株)理美容事業部・理容統括部長の岡戸信彦氏による乾杯の発声で酒宴に移り、参加者は生バンドによるジャズ演奏を楽しんだ。
左から来賓祝辞を述べ滝川晃一会長、増保憲一会長、乾杯の発声を行う岡戸信彦統括部長
後半の就任セレモニーでは児玉啓(3代)、渡部功臣(4代)、石井武夫(5代)の各歴代会長も登壇し、児玉利明第6代会長と固い握手を交わした。就任の挨拶で児玉新会長は「65年という歴史を持ち会員数も千人という組織の責任者になったことにプレッシャーを感じている」と前置きして、H.S.A協会の歴史や歴代会長の業績などを紹介した。
握手を交わす歴代会長(左から渡部、児玉、石井、児玉新会長)
石井前会長(右)と児玉新会長
それによると、初代会長を務めた八木佑作氏によって創設された同会はその後木村三郎氏(2代)に引き継がれ、児玉啓氏(利明氏の父親)の時代に現H.S.Aの基礎が確立したという。児玉新会長はまた、同氏の師匠でもあるという渡部功臣氏がバブル崩壊の影響で沈滞した会を再生させたことや、石井武夫氏が業界初のキッズ競技を設け子供市場獲得に貢献したことなども披露した。
その上で児玉氏は今後H.S.Aをより発展させるための条件として①本部と支部の一層の関係強化、➁毎年開催のグランドフェスティバルの魅力アップ、③本部会員のスタッフ教育の充実化等を挙げた。さらに、理容業界におけるピンチとチャンスという問題について触れ「市場の縮小傾向や労働環境の整備、少子高齢化による人手不足など課題は山積しているが、こういうピンチの時代こそ頑張っているサロンにはチャンスが訪れる。雇用問題改善のためには、サロンが学校など社会に向けて理容の魅力を積極的に発信していくことも重要だ」と会員たちに行動の必要性を訴えた。
柳則夫新潟支部長による二度目の乾杯発声で祝宴は一層盛り上がった。中締めでは児玉充浩副会長が役員を紹介し「ワンチームになって業界を牽引していきたい」と新体制のサポートを誓った。
新会長の就任セレモニーで乾杯の音頭をとる柳則夫新潟支部長
中締めで挨拶する児玉充浩副会長(後列左)と役員たち
(記者:小牧洋)