「大変だったカラー修正と解決法6選」(中編)
アメ村のブリーチトラブルシューターが選出

アメ村のブリーチトラブルシュータ―が選ぶ

大変だったカラー修正と解決法

日々複雑なカラー履歴と格闘している、大阪・アメ村の美容室、『VOLCAN&APHRODITE HAIR』の野村さんが選ぶ、「大変だったカラー修正」6選ぶ。前編に続き、中編をお届けします。

前編はこちら↓

https://www.shinbiyo.com/sj/?p=6926

トラブルシュート3

セルフカラーの濃いピンクから、

淡いパステルトーンに変えて欲しい!

BEFORE

AFTER

セルフでやった塩基性の濃いピンクが、しっかり残っている状態のお客様。どんな薬剤を使ったかが読めないうえに、希望は“淡い色味へのチェンジ”。

なかなかの強敵だと思いました。

カラーのプロセスとしては、

1.伸びた新生部をOX6%(1.5倍)のブリーチでリタッチ。既染部につかないよう、ペーパーを使いました。

2.中間〜毛先はブリーチで脱染。

無理にピンクを取ろうとしても、髪が耐えきれないと判断したため、やや淡くなったくらいで流しました。

3.セカンドカラーは塩基性で塗り分けました。

根元→ムラサキ

中間→塗布しない(残留色素を活かす)

毛先→淡いムラサキ(残留ピンクと重なりピンク寄りのパープルに)

残留を活かすことで、髪のダメージを最小限に抑えつつ、ご希望だった淡めトーンの〝ゆめかわグラデ〟に仕上げました。

※“ゆめかわ”=「夢みたいにかわいい」という言葉の略で、パステル調の淡い色調を指す。

セルフで行った、濃い塩基性ピンクががっつり残留しているビフォア。

新生部の長さもなかなか。

まずは新生部をリフト。ペーパーを使って、既染部への付着を防ぐ。

ペーパーを外した状態。この後、脱染のため既染部にブリーチを塗布する。根元を少し残しているのは、頭皮を守るための野村さんのこだわり。

流した状態。無理に削ろうとしすぎるとダメージが恐いので、このくらいの脱染でアップ。

セカンドはすべて塩基。根元にムラサキ、中間は塗布なし、毛先は薄いムラサキを塗布。残留色素を活かし、最小限の処理で〝ゆめかわグラデ〟に仕上げた。

トラブルシュート4

他店でブリーチし、断毛して帰ってきた

常連のお客様レスキュー

BEFORE

AFTER

元々僕のお客様なのですが、他店で一度ブリーチをしたら断毛+ポーラス毛化してしまい、なんとかして欲しいと帰ってきてくださった男性です。

ブリーチ履歴のある髪に対し、新生部から毛先まで同じ薬剤を塗って一発でブリーチした結果、こうなってしまったのかなと思われます。

僕が元々ホワイト近くまで上げていた中間〜毛先の部分がチリチリになり、前回の新生部であろう部分は上がりきらずに黄色に。さらに根元が伸びているという状態です。

これはさすがに手遅れ気味な部分もあると思ったので、可能なところはカットして、あとはできる限りのケアを行いつつ、根元、黄色、ホワイト部の色の差を埋める施術をしていくことにしました。

1.新生部〜黄色部を、コットンを使ってOX4.5%でブリーチ(えり足のみ6%使用)。

※塗布は、新生部全頭→時間差で黄色い部分まで塗り広げる手順で行っています。

※新生部の長さ的に、根元の上がりやすさを利用して、OX4.5%でも前回のブリーチ部と繋げられると判断し、このときは塗り分けていません。

2.ホワイト部分はブリーチはつけず、とにかくトリートメントでケア。

3.流したら、9レベルのグレイ系アルカリカラーをクリアで希釈したものを全頭に塗布。

4.ベースができたら流して、塩基性カラーでデザインをプラス。

根元から毛先までを完璧につなげるのは難しいと判断していたので、ある程度差を埋めてから無彩色系のアルカリカラーでオンカラーすることで、ベースを整えました。

派手なデザインが好みの方だったので、もうひと声何か欲しいかなと思い、相談のうえ塩基性でデザインをプラスして仕上げました。

新生部の黒、前回の新生部が上がりきっていない黄色、チリチリ&断毛しているホワイト部と、3層に分かれているビフォア。

元々かなり明るかった既染部と新生部を塗り分けず、同じ薬を使って一発でブリーチした結果断毛したと思われる。ダメージは深刻な状態。

新生部~黄色部分までをブリーチ。リフトしやすいようコットンを使用する。このあと、コットンを外してホワイト部にトリートメント処理を行う。

水洗後。これ以上のダメージを回避するため、完璧につなげようとはせず、差を埋める程度でブリーチ工程はOKとする。

オンカラー後。ベースの差を目立たなくするため、9レベルのグレイ系アルカリのカラーをクリアで希釈したものを使用。

お客様の好みに合わせ、塩基性カラーでデザインをプラス。

仕上がり。深刻なダメージ部は影響のない範囲でできるだけカット。横のムラを感じない透明感のある仕上がりになった。

「アメ村のブリーチトラブルシューター野村さんが選ぶ、「大変だったカラー修正」6選」

はまだまだ続きます!次回、後編をお楽しみに!

野村友大/VOLCAN&APHRODITE HAIR

のむらともひろ 1986年、大阪府出身。ベルェベル美容専門学校卒業後、大阪市内2店舗を経て『VOLCAN&APHRODITE HAIR』入社。お客様のブリーチ比率はほぼ100%。マンツーマンの接客スタイルで、複雑なブリーチオンカラーの履歴と日々格闘。カラーフリークのお客様から厚い信頼を寄せられている実力派。