「大変だったカラー修正と解決法」6選(後編)
アメ村のブリーチトラブルシューターが選ぶ

日々複雑なカラー履歴と格闘している、大阪・アメ村の美容室『VOLCAN&APHRODITE HAIR』の野村さんが選ぶ、「大変だったカラー修正」6選。

前編・中編に続き、ラストの後編をお届けします。

前編はこちら↓

「大変だったカラー修正&解決法」6選(前編)
アメ村のブリーチトラブルシューターが選ぶ 大変だったお客様のカラー修正と解決法 大阪・アメリカ村にある美容室、『VOLC...

中編はこちら↓

「大変だったカラー修正と解決法6選」(中編)
アメ村のブリーチトラブルシュータ―が選ぶ 大変だったカラー修正と解決法 日々複雑なカラー履歴と格闘している、大阪・アメ村の美容室...

トラブルシュート5

リフトが甘いためオンカラーが入らず、

グレイと青がムラになった修正希望のお客様

BEFORE

AFTER

他店でブリーチ+ネイビー系のアルカリカラー(えり足のみターコイズ系の塩基性カラー)の施術を受けたところ、根元や内側などリフトが甘かった部分は色が入らず、黄色と緑がかったグレイのムラに。中間〜毛先は、希望の深いネイビーではなく鮮やかな青になってしまったお客様。

他店での施術後すぐにうちにいらっしゃって、「ムラを直して均一なシルバー系にしたい」とのご希望でした。

カラーのプロセスとしては、

1  リタッチが甘く黄色~グレイになっている根元や内側に、パウダーブリーチ(2%OX 1.5倍/ケア剤使用)を塗布。     

                     ↓

2  ネイビーが入っている中間〜毛先は脱染ができればいいので、 時間差でパワーを抑えたブリーチ剤を塗ります。

           ↓

3 水洗後、5レベルのシルバー系+10レベルのニュートラル系+8レベルのバイオレット系=10:1:1.5(2%OX)を総量に対して1.5倍量のクリアで薄めたものを塗布。

       ↓

4 3と同様の薬剤を毛先にシャンプー台で乳化させて浸透させる

根元も1度ブリーチをしてある状態で、毛先は割と明るくなっていたので、極力やさしめのブリーチ剤を使用しました。5レベルのシルバー系のカラーを少しマイルドにしながら明るくしたかったので、10レベルのニュートラル系を加えています。

BEFORE

 

えり足は特にリフトできておらず、根元からオンカラーしたはずなのに、黄色くなっている。

ブリーチを塗布して水洗した状態。根元のリフトしている部分の先にオレンジ味を感じるが、これは残留色素によるもの。アンダートーンがほぼ揃っていて、目指す色的に問題なさそうなのでこのくらいで流す。

根元~オレンジ味の残っていた中間まで、5レベルのシルバー系ベースに、バイオレット系とニュートラル系を混ぜてから、1.5倍量のクリア剤で薄めた薬剤を塗布する。色素をしっかり入れたいので、ベースとなるシルバー系は5レベルを使用。毛先にかけて自然に明るくなるように、20分放置後に毛先には同様の薬剤をトナーする。

AFTER

ムラが消え、均一なシルバー系に仕上がった。

※お店の照明の色で、フロントが紫がかって見えています。

トラブルシュート6

カラーチェンジを楽しみ、

セルフカラーもする

ロングのお客様のカラー遍歴

最後は、来店ごとにカラーチェンジを希望されて、セルフカラーも楽しむタイプの常連のお客様のカラー遍歴をご紹介します。鎖骨下のミディアム~ロングをキープされているので、ケアに重点を置いてカラー修正やチェンジを行います。ざっと今まで来店された際のBEFORE→AFTERをお見せします。

(初めての来店時)

2か月前に他店で施術した塩基性カラーのブルーに飽きたため、グレージュ系にして欲しいとのご希望で来店されました。

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(ブリーチ)

根元は地毛のまま残したいとのご希望だったので詰めず、既ブリーチ部にケア剤を使いつつブリーチ剤を塗布。青系塩基性カラーが緑色に残留していますが、ここからオンカラーで整えます。

 

(仕上がり1)

グレージュ系7.5レベルのアルカリカラー剤を根元~毛先まで塗布。根元までブリーチしないことで、自然なグラデーション状のグレージュに仕上げました。

(4か月後・2回目の来店時)

根元がかなり伸びて、既ブリーチ部にはセルフでした青系の塩基性カラーが残留している状態で2度目のご来店。根元が暗いブルーバイオレット系にしたいというご希望でした。

(ブリーチ&1回目のオンカラー後)

デザイン的に根元を残したかったので、新生部を数センチ残して根元をブリーチ(5%OX)。ペーパーやホイルを使って新生部を塗布した後に、既染部にブリーチ剤を塗布します。根元から8センチくらいまではブルーバイオレット系4レベル(アルカリキャンセルタイプの2%)を塗布。そこから先、毛先までは紫味のあるシルバー系9レベル(2%OX)を塗布。

 ↓

上のプロセスの後に流して、根元の暗いブルーバイオレットの部分に少しオーバーラップしながら、ブルーバイオレット系の塩基性カラーを塗布して仕上げました。

 ↓

(約4か月後・3回目の来店)

根元が伸び、中間には帯状に残留色素による濁り、毛先にはセルフ塩基性カラーによるものと思われる、謎の赤系の残留がある状態でのご来店。パープルっぽいグレイをご希望でした。

 ↓

(ブリーチ)

ペーパーやホイルを使って、新生部をブリーチ(4.5%)。中間~毛先には3%のブリーチを塗布しています。

バイオレット系5レベル+シルバー系5レベル+クリア剤=3:1を、総量の1.5倍のクリアで薄めたもの(2%OX)を、中間の濁りがあった部分まで塗布。そこから毛先までは、シルバー系9レベル+バイオレット系8レベル=3:1を、総量の1.5倍のクリアで薄めたもの(2%OX 2倍)を塗布して仕上げました。

このお客様は、このあとも色々なカラーチェンジを楽しみながら通ってくださっています。

長くブリーチオンカラーを楽しむためには、極力ダメージさせない方法でデザインしていくことが大切ですね。

前編・中編・後編に分けてお届けした「大変だったカラー修正」6選も今回でおしまいです。ご覧いただきありがとうございました!

野村友大/VOLCAN&APHRODITE HAIR

のむらともひろ 1986年、大阪府出身。ベルェベル美容専門学校卒業後、大阪市内2店舗を経て『VOLCAN&APHRODITE HAIR』入社。お客様のブリーチ比率はほぼ100%。マンツーマンの接客スタイルで、複雑なブリーチオンカラーの履歴と日々格闘。カラーフリークのお客様から厚い信頼を寄せられている実力派。