産学連携等で新しい時代に対応
第382回理事会・新年懇親会 / 全日本美容業生活衛生同業組合連合会

第382回理事会

全日本美容業生活衛生同業組合連合会(全美連・吉井眞人理事長)は1月22日正午から、都内千代田区のホテルニューオータニで第382回理事会を開催。今年秋に広島県で開催される「第48回全日本美容技術選手権大会」の入場料金等に関する付議事項および世界的なスポーツの祭典の選手村ビレッジプラザ内ヘアサロンの運営事項等について審議した。
議事に先立って挨拶した吉井理事長は、初めに今夏の世界的なスポーツの祭典および来年横浜で開催されるOMC主催の世界理容美容技術選手権大会に触れ「選手村ビレッジプラザ内で運営されるヘアサロンについては、現在東京都美容組合の金内理事長が中心となって準備を進めてくれているので全美連としても全力でサポートしていきたい。いずれも大きなイベントを控え、連合会も新しい時代に向かって進んでいくことになる」と二大イベントの成功に意欲を示した。そして「業界を取り巻く環境も大きく変わっていく中で、美容もまた独自の進化を遂げていく必要がある。業に携わる全ての人々が『美容をやってきて本当に良かった』と幸せを感じ、子供たちにも『親の跡を継ぎたい』と思ってもらえるような業界づくりに取り組んでいきたい」と新年に向けた抱負を語った。
理事長はまた、団塊の世代(約800万人)が一斉に75歳以上の後期高齢者となるいわゆる“2025年問題”にも言及し「この層のニーズに十分応えていく美容サービスや労働環境を整えるためにも、産学連携や産産連携を今後更に進めていくことが重要」と多面的な連携強化の必要性を訴えた。

挨拶する吉井理事長

続いて議長に藤原國明副理事長を指名して議事に入った。報告事項では初めに各委員会の委員長が進捗状況について報告を行った。

藤原副理事長(左)を議長に指名して議事進行

組織強化・広報委員会の井手口宥公委員長は、加入目標数の達成問題について「この10年間で約半数の組合が千店舗を割っている」と一向に歯止めのかからない組合員店舗の減少に危機感を示した上で「毎年同じことをお願いしているが、加入目標を達成するにはやはり各県理事長が自ら鉢巻きを巻いて増強運動と向き合い、委員にもはっぱをかけてもらうしかない。(実績のある)徳島県に続いて欲しい」と一層の努力を促した。
事業・教育委員会の野村敏夫委員長は、現在「訪問美容」に関する各都道府県の省令・細則等を調べていることを報告し「まとまり次第送付するので各県に合った訪問美容の推進をはかって欲しい」と要請した。
共済委員会の野本義久委員長からは、総合福祉共済制度および休業補償共済制度の加入者増強運動の結果について報告があった。それによると、増強運動期間における総合福祉共済の新規加入は791件で脱退は604件だった。純増目標の1381件に対する実績は187件で、加入率も昨年に引き続いて基準率の35%を割る34.1%という厳しい結果となった。この結果について野本委員長は「2021年の更新時までに加入率の改善が見られなければ配当率が下がってしまう」と危機感を表わし、来年度の35%達成に向けた各県の努力を強く要請した。休業補償共済も純増目標を大きく下回ったという。
野本委員長はまた、先に吉井理事長から要請のあった「新たな共済制度の検討」についても進捗状況を報告した。共済委員会ではこの新たな制度の詳細について3月開催の最終委員会までにまとめ、5月の理事会に提案したいとしている。委員会ではこれと並行して「国民年金基金」についても検討を進めているが、その趣旨について野本委員長は「人生100年時代と言われる中で個人経営者の老後保障は厳しい。我々もこうした基金に目を向ける必要があるのでは」と説明した。同年金基金は全美連ではなく各県組合が紹介業務として対応することになるという。
連携事業推進委員会の深澤仁委員長からは、(公社)日本理容美容教育センターとの連携で2年間のモデル事業として行ってきた産学連携就職情報交換事業が、来年度からは全国で実施されること、その他の連携事業として同じく理美容教育センターと連携した「資格表示(従業員の携帯免許証のようなもの)推進事業」の準備も進めていることなどが報告された。
この他、外部の有識者等も参加してこれまでに5回開かれている「これからの美容組合・連合会のあり方検討会」の進捗状況について事務局から報告があった。報告によると、昨年11月28日開催の第5回同検討会では「美容連合会・組合の運営ビジョン作成」をテーマに2021年~2025年の5年間におけるビジョン(連合会の方向性等)に関する意見交換が行われた。今年度中に報告書がまとめられる予定だという。
また、(公社)日本理容美容教育センター主催の全国理容美容学生技術大会(理美容甲子園)で2020年度から「まつ毛エクステンション(まつエク)」競技が新たに導入されることに伴い、同センターからヘアスタイルやメイク競技と同様に審査員および監視員の候補者推薦依頼が来ていることについて事務局から「推薦の準備を進めたい。過去2回、全美連主催のまつエク指導者講習会を開催しているので、今後必要な講習会の開催も検討していく」と報告があった。
このあと付議事項の審議に入り、第48回全日本美容技術選手権大会(令和2年10月27日、広島グリーンアリーナ)の入場料、令和2事業年度収支予算(案)を作成するための予算委員会設置に関する議案をいずれも承認可決した。なお、2020東京オリ・パラ選手村ビレッジプラザ内ヘアサロンの運営、外国人美容師の就労等に関する協議事項は報道関係に非公開となった。

役員歴15年で吉井理事長から表彰を受ける深澤仁副理事長

新年懇親会
理事会終了後の午後4時からは同ホテルに国会議員や業界関連団体代表、流通関係者など多数が出席して新年懇親会が開催された。吉井理事長の挨拶に続いて来賓の加藤勝信厚労大臣をはじめ衆議院本会議を終えた多数の国会議員がかけつけ祝辞を述べた。
加藤厚労相は来年横浜で開催される世界理美容技術選手権大会に触れ「日本の高い美容レベルを世界に示すと共に、これまで培ってきた技術を次の世代にしっかり継承していって欲しい」と期待した。

新年懇親会で祝辞を述べる加藤勝信厚生労働大臣

この他、業界関連の来賓として(株)日本政策金融公庫の片岡佳和常務、全国理容生活衛生同業組合連合会の大森利夫理事長、(公財)全国生活衛生営業指導センターの小池広昭理事長、(公財)理容師美容師試験研修センターの上原至雅理事長、(公社)日本理容美容教育センターの谷本穎昭理事長、全国美容用品商業協同組合連合会の蒲生茂理事長、全日本美容講師会の福島吉範会長らも祝辞を述べた。
乾杯の発声では吉川秀隆タカラベルモント(株)会長兼社長が「選手村に設けられるヘアサロンでは、多くのボランティアの方々が高い技術力で各国選手を美しくする。来年9月に開催されるOMCの世界大会でも日本選手の活躍を期待したい」と業界の発展を力強く祈念し酒宴に移った。

乾杯の発声をする吉川秀隆タカラベルモント(株)会長兼社長

(記者:小牧洋)