美容師が感染しないための、お客様のマスク着用
新型コロナ感染症に対して確たる防御策が確立されていない今。どれだけ徹底的な感染予防をしていたとしても、不安を抱えながら営業を続けていらっしゃるサロンがほとんどではないでしょうか。これからもしばらくの間は、新型コロナと闘いながらの営業は続くと予想されます。 期間が長引くほど、お客様への感染予防はもちろんのことですが、美容師自身が感染から身を守る対策を徹底しなければなりません。
そこで大切になってくるのが「施術時のお客様側の100%マスク着用」だと思われます。ご承知のように、新型コロナは飛沫感染と接触感染で感染する確率が高いウイルスです。が、美容室ではこれまで(インフルエンザ流行時などでも)、お客側のマスク着用施術は、①マスクのヒモがシャンプーで濡れる、カラーやパーマ剤で汚れる ②カットのときに毛クズがつく、内側に毛が入って不快 といった理由で「できないもの」「勧めづらいもの」と思われてきました。しかし新型コロナの流行で、マスク着用施術を推奨するサロンが急速に増えています。ただし今はまだ「マスク着用でも施術できますよ」という、お客様側の判断にゆだねているサロンがほとんど。しかし装着方法を工夫して、100%マスク着用をお願いしているサロンも現れ始めています。
医療用テープ(サージカルテープ)によるマスク着用施術
その一つが東京・表参道の「Velvet on the Beach(ベルベット オン ザ ビーチ)」。4月18日に営業を再開するにあたって、オーナーの桜井章生氏がホームページのトップに、サロンとスタッフ間で徹底的に行っている感染予防対策の内容を細かく明記している中で、
「来店時、来店後も常にマスクの着用をお願い致します。最善は尽くしますが、カラーやシャンプー時にゴム周りが濡れ、カラーが付着する可能性がありますが、ご了承ください。(耳掛けを外して医療用テープでマスクを固定させていただくご用意もあります。)」
とお客様に「サロン内での常時マスク着用」をお願いしています。
この医療用テープとはサージカルテープとも呼ばれ、傷口に当てるガーゼなどを固定するために使われる医療用の安全性の高いテープのこと(すべての人にとって刺激がないわけではありません)。「Velvet on the Beach」さんでは、マスクのヒモがシャンプー時に濡れたり、カラーやパーマ剤が付着するのを嫌がるお客様には、ヒモを外していただき、このテープで肌に直接貼り付ける方法をお勧めしているそうです。
桜井さんによると「テープをあまりしっかり貼るとお客様から嫌がれますので、あくまでも仮止め程度にしています。以前はもっと太いテープで貼っていましたが、肌荒れを心配されるお客様が多かったので、今の太さに変更しました。前髪をカットする場合は、マスクの間にティッシュをはさんでドライで切っています。こうするとマスクの中に、毛が落ちるのを防げます」とのこと。
なるほど、この方法なら、お客様側も美容師側もストレスが少なく施術が進められそうです。
この他にも現在、全国のサロンでは様々なアイデアを駆使しで、お客様のマスク着用率を上げる工夫がなされているようです。ぜひ読者の皆様も、色々なアイデアをお寄せください!
本誌編集者が実際に色々なマスク着用法を、サロンで施術を受ける時に試してみた体験記はこちらで随時公開。→「美容師さんのための新型コロナウイルス感染症 特設サイト」https://www.ks-chiaki-blog.com/
また月刊「経営とサイエンス」では、7月号から新型コロナ対策法を継続特集しています。詳しくは公式HPをご覧ください。→ https://www.shinbiyo.com/