全日本美容講師会(福島吉範会長)は6月14日、都内港区のグランドニッコー東京台場で「第4回通常運営委員会」を開催し、令和3年度の事業計画および収支予算案を含む全ての議案を承認可決した。任期満了に伴う役員改選では、福島吉範氏が会長に再任されたほか、副会長には鳥海利江子、岩見悠紀子両氏が決まった。
午後12時45分から開催された運営委員会には、定数57名中56名(書面出席23名を含む)が出席。会に先立って特別賛助会員等への感謝状贈呈が行われ、(株)ガモウの蒲生茂、タカラベルモント(株)の野口耕永、(株)アリミノの田尾大介の各氏に福島会長より感謝状が贈られた。
贈呈の理由等について福島会長は「3年前の就任時に『今後はメーカー、ディーラー、ジャーナルなどすべての関係団体が一体にならなければ美容業界の発展は望めない』と考えて規約も改正し、流通関係各社への協力をお願いした。コロナ禍という厳しい状況下でもこの3社は講師会を支えてくれており、心から感謝している」と説明した。
これに対し蒲生氏は「賛助会員制度の趣旨に共鳴できた。何が起きても美容業界は永続するので、今できることを着実に実行することが大事だ」、野口氏は「弊社の創業100周年を記念する大きなイベントもコロナ禍で中止になってしまったが、今後も市場の活性化のために努力したい」、田尾氏は「顧客の来店頻度低下でパーマ液などの商材使用料にも影響が出ている。店販でやや盛り返してはいるが、業界の要は何といっても技術を通じてのお客様への貢献」とそれぞれ謝辞を述べた。
続いて会員増加の推進に関する会支部表彰が行われた。新型コロナウィルス感染症の影響で延期となっていた令和2事業年度分も併せて行われ、大阪府、福井県(令和2年度分)、北海道、山口県(令和3年度分)の各会支部代表に福島会長から表彰状が贈られた。
福島会長は挨拶の冒頭まず、昨年5月に死去した深澤仁前事務総長(後任は藤原國明氏)について触れ「会長就任後ともに一生懸命頑張ってきただけに、私にとっては大打撃だった」と故人を偲んだ。そして、「当会は技術者団体としては世界一の会員数を誇っているが、これからは数だけでなく内容も一番にならなくてはいけない。この3年間“感動と感激”の会を目指して運営してきたが、コロナ禍という大災害によってTMモード発表会(宮城県)など予定していた多くの事業が中止になったのは誠に残念。コロナ禍を機に様々なことが新しい段階に入ったような気がする」と新年度への期待を寄せた。同会長はさらにデジタル化が急速に進む現状と会の運営についても言及し「若手の獲得にデジタル対応は必要だが、この会を一番支えてくれているのは年配の会員たちだ」と述べ、デジタルとアナログのバランスを取りながらの運営を強調した。
来賓を代表して祝辞を述べた同講師会常任相談役の井眞人全美連理事長も初めにデジタル時代の到来に言及し「若い世代がこれからこのデジタル社会の中でどんな活躍をしていくかが注目される。また、2020年には18歳の“成人”が美容学校で勉強をするようになるが、卒業者と現場の間に技術的な乖離も見られる。こうした溝を埋めていくためにも講師会の役割は大きい。全美連も講師会と協力し合って新しい時代を築いていきたい」と語った。
議長に赤上喜久子(茨城県)、神谷司(岡山県)両氏を選任して議案審議に移った。2号議案の令和2事業年度事業報告承認の件で福島会長は、入会者21名に対して退会者は120名だったことを報告し「コロナ禍の影響によるものと思うが、退会者が120名で収まったことにやや安堵している」とした上で「講師会への入会条件が組合員である以上、組合員を増やすことが講師会員の増加にもつながる。組合員増加は我々講師会員に課せられた重要な責務だ」と両者の関係性を強調した。
また、4号議案の令和3事業年度事業計画(案)承認の件で提案理由を説明した福島会長は、新型コロナウィルス感染症の影響で各事業が従来通りの日程では実施できない可能性もあるため「次期執行部で検討して欲しい」とした上で、「とくに発表会等の大規模な集客を伴う収益事業は見合わせている。改選期ということも考慮して継続事業を柱に事業計画を検討した。コロナ収束を願っているが、こうした時期だからこそ新たなビジネスモデルを模索し会員に提案していきたい」と抱負を述べた。
このあと事業案の詳細説明があった。それによると、TM事業部門(発表会・研修会関係)では「第106回TMモード発表(記者発表・創作ステージ)」を2021年7月7日夕方、都内港区・台場のグランドニッコー東京台場で行う。ポスターに関しては、初の試みとしてQRコードから作品の動画イメージが見られる仕様にしたという。その他の事業としてヘア、TM流行色、洋装ブライダル関係については鳥海利江子副会長、また着付関係事業については高田満子副会長がそれぞれ説明した。
質疑応答では参加者から「講師会のホームページに特別賛助会員をリンクさせることで新規獲得につながるのでは」「若手会員の増加策としてSNSの活用はどうか」等の意見が出され、福島会長は「貴重な意見で大いに参考にしたい。ただ、ユーチューブの場合はリスクもあるので万全な対策を講じながら取り組んでいきたい」と前向きな姿勢を見せた。
役員改選で再選された福島会長は新執行部を代表して「会費の減少問題や賛助会員の獲得、新規事業への挑戦など非常に大きな課題を背負っている。講師活動を通じて組合や講師会の魅力を非組合員の方々にも訴えることが、結果的に講師会の発展につながる。引き続き、感動と感激を与えられる会を目指して頑張りたい」と力強く挨拶した。
(新役員)
▼会長=福島吉範▼副会長=鳥海利江子、岩見悠紀子▼常任相談役=井眞人▼常任運営委員=岸谷義人、赤上喜久子、菊玖、山田廣美、神谷司、白水順子▼事務総長=藤原國明(敬称略)
再選された福島吉範会長(中央)
副会長の鳥海利江子氏(左)、岩見悠紀子氏(右)
新執行部のメンバー
感謝状を贈られた左から蒲生茂、野口耕永、田尾大介の各氏
支部表彰の模様
祝辞を述べる井眞人全美連理事長