ゆるませ膨潤で酸性ストレートでも均一還元・均一酸化

ストレート

『Hydraid』は非加温式の浸透促進機だった!
第2回 / 酸性ストレート ×『Hydraid』

キューティクルの隙間より小さな水粒子を放出する『Hydraid(ハイドレイド)』。小さな水粒子が毛髪の親水部だけでなく疎水部までゆるませる。このことにより、どういう施術が可能になるのか、SSAを主宰する有本直幸さんが2回にわたって解説します。2回目のテーマは、酸性ストレートにおける活用法。



Profile
有本直幸(ありもとなおゆき)
1963年10月18日生まれ。熊本の「髪工房SOEN.LABO」代表。2010年、「ヘアデザインのためのヘアサイエンス」を学ぶ美容アカデミー・SSAを設立。数多くの受講者が学んでいる。


『Hydraid』の効果的活用法


color&make-up:NAOYUKI ARIMOTO(SOEN.LABO)
hair:TOSHIHIRO YAMADA(Paddle)

 

アルカリレスの薬剤でも毛髪内部に均等に行き渡り、ムラなく作用

『ハイドレイド』は髪に熱を与えずに、水分を補給したり、薬液の浸透促進ができる新たなテクノロジーです。原理としては、空気中の水分子を細かな水粒子に変換して放出します。水粒子は毛髪内部に入り込み、親水性部位だけでなく、疎水性部位のパラコルテックス(*1)までゆるませていくというようなイメージです。パーマや縮毛矯正の施術においては、通常アルカリ剤を使用することによって還元剤が浸透していくわけですが、『ハイドレイド』が毛髪をゆるませることにより、アルカリを抑えた1液でも浸透しやすくなります。そういう意味では、アルカリレスの1液ほど、ダメージを抑制するという『ハイドレイド』活用のメリットが生まれてきます。

シスチン結合を均一に切る(*2)というのも『ハイドレイド』活用の特長です。加温により還元反応を促進しているのではなく、毛髪がゆるむことで還元剤が均等に浸透しシスチン結合と接触する機会が増え、シスチン結合をムラなく切断しやすくなるというイメージです。加温ではないので、還元剤が過剰に反応するという心配はありません。

酸性ストレートや酸性パーマの場合、2液のブロム酸が毛髪表面で反応してしまい、毛髪内部までしっかり酸化されにくいという問題があります。2液塗布後に『ハイドレイド』をあてることで、その問題が改善できるというのもメリットです。細かな水粒子が酸化剤を毛髪内に均等に行き渡らせることができるので、結果として、均一にシスチンの再結合がしやすくなります。まとめると、アルカリの少ない(あるいは、ない)薬剤で、均一還元と均一酸化がしっかりと行える施術をサポートしてくれるのです。

*1 角化した部分  *2  還元剤がシスチン結合を均一に切りやすくする

 

『Hydraid』の浸透効果を検証

ブリーチ毛に通常のカラー処理と『Hydraid』処理を行い、
28回洗浄した毛束と、その毛束断面を光学顕微鏡で見た映像。

 

毛束で『Hydraid』の浸透効果を検証。28回洗浄しても染料がしっかり定着

上の写真は、ブリーチ毛をブラウン系カラー剤で染め、28回洗浄した毛束と、その毛束の断面映像です。通常施術と『ハイドレイド』をカラー剤放置時にあてた施術とを毛束で比較すると、『ハイドレイド』施術のほうが、染料が濃く定着しています。断面映像は、黒い楕円形が毛髪で、その中で光って見えるのが染料です。『ハイドレイド』施術のほうがより多く光っていて、染料が定着しているのがわかります。このことから『ハイドレイド』には薬液の浸透促進作用があると推測できます。
この作用をパーマやストレート施術に応用すると、アルカリのパワーに頼らなくても1液が均等に浸透し、2液もムラなく毛髪内部まで浸透するということが期待できます。

 

酸性ストレート × 『Hydraid』施術例

低いpHでも、しっかりストレートに

Before

全体にゆるやかな波状毛。2週間前にグレイカラーをしている。中間~毛先はダメージが進んでいて、間充物質が少し流出している。2年半ほど前に酸熱トリートメントの履歴がある。

 

<薬液操作>

【1液操作】比較的ダメージの少ない根元~中間は〈pH5.5 還元値 6≫、ダメージが進んでいる中間~毛先は≪pH4.0 還元値 9.4≫で塗り分ける。塗り分け後、『ハイドレイド』をあてながら15分放置。
【2液操作】 ブロム酸タイプを使用。2液塗布後、『ハイドレイド』をあてながら10分放置。

 

<After>

 

『Hydraid』を使った技術プロセス

 

加温を行わないので、1液·2液の放置時間に浸透促進ができる!

1液塗布前に『ハイドレイド』をあて、毛髪をゆるませ、1液が毛髪内部に均等に浸透する環境をつくる。1液と2液塗布後の放置時間にも『ハイドレイド』をあてて、浸透促進を行う。酸性ストレートではブロム酸タイプの2液が毛髪表面で酸化しやすいという課題があったが、2液を浸透促進させることで毛髪内部までしっかりと酸化が行われる。

 

解説及び技術展示 /有本直幸(髪工房 SOEN.LABO)

Hydraid公式サイト
株式会社アイシン
愛知県刈谷市朝日町2-1
TEL:0566-62-8130. 受付時間 9:00~17:00

 

*月刊『SHINBIYO』2023年3月号・タイアップ広告より転載